2014年11月21日金曜日

北海道銀行のシステムの 過去のネット刷新記事

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/JIREI/20100113/343170/北海道の中小企業や一般家庭をメイン顧客とした「どさんこバンク」こと北海道銀行(道銀)は2009年11月,主に道内にある支店と店外ATM(現金自動預け払い機)を結ぶネットワークの刷新を終えた。  6月には約130カ所の支店を,NTT東日本の広域イーサネット・サービス「ビジネスイーサ ワイド」を使って基幹システムのある札幌のセンターに接続。さらに,「フレッツ・オフィス」を使って約330カ所のATMをセンターにつないだ(図1)。「ようやく広い道内で一つのサービスを一斉に始められる環境が整った」と,システム企画部の小林裕幸部長兼シニアマネージャーは語る。ネットワークを再構築したきっかけは,横浜銀行,同じほくほくフィナンシャルグループの北陸銀行との3行で勘定系システムを共通化することだった。2007年3月,3行はNTTデータと,共同システムの開発に関する契約を締結。NTTデータが運営する地銀共同センターで,銀行業務用の勘定系パッケージを使ってシステムを構築することにした。  システムの名称は「MEJAR(メジャー)」。横浜市の共同センターに,窓口からのオンライン取引用システム,ATMからのオンライン取引用システム,融資業務支援システム,そして実績や経営情報を管理・分析する統合データベースといった,銀行業務の基幹系システムを置く。  各行から共同システムを利用するためのバックボーン・ネットワークも共通化した。札幌,富山,横浜にアクセス・ポイントを設け,それぞれをNTTコミュニケーションズ(NTTコム)と,各地域の電力系通信事業者が提供する広域イーサネット・サービスで接続したネットワークである。各銀行の本支店からは,MEJAR共同ネットワークを介して共同センターに接続する。アクセス・ポイント間ネットワークの帯域はいずれも100Mビット/秒で,NTTコム側を主回線,電力系事業者側をバックアップ回線として使う。新アプリは広帯域が前提この共同システムに移行するに当たって,道銀では支店ネットワークの増強が必要になった。MEJARの新しいアプリケーションでは,例えば融資審査に使う書類のイメージ・データをやり取りするなど,従来よりも大きなトラフィックが発生するためだ。2008年に固まった共同システムの仕様には,「数Mビット/秒などある程度以上の帯域を確保すること」いう項目が盛り込まれた。道銀として警備用カメラの画像を相乗りさせたいなどの事情もあった。  それまで道銀は,店舗端末や店外ATMとメインフレームの間を3.4kHzのアナログ専用線で接続していた。モデム経由で通信制御装置の「SURE SYSTEM 7000」(富士通製)に接続する形態で,データ圧縮装置を使って仮想的に帯域を増やし,情報系と勘定系のトラフィックを相乗りさせていた。  しかし,これでは各支店から新アプリケーションは使えない。そこで本支店と札幌センター,札幌のMEJARアクセス・ポイントをビジネスイーサ ワイドで接続した。共同ネットワークの帯域を3行で分け合うというMEJARの契約上の理由から,各支店の回線容量には上限も設けた。アクセス回線のメニューは10Mビット/秒だが,各支店のルーターで3M~5Mビット/秒に帯域を絞り込んでいる。  例外は道銀の札幌センターと本店。札幌センターには収益管理,営業支援などのサブシステムが残るため,依然として各支店からのトラフィックがある。ここでも勘定系などの新アプリケーションと同様にイメージ・データなどを扱うため,回線容量を1Gビット/秒とした。本店も支店に比べるとユーザー数が多いうえ,業務分析などのアプリケーションを利用する頻度が高く,トラフィック量が多いことから100Mビット/秒を引き込んだ。 店舗端末のリプレースと同時進行  共同システムは既に完成していて,横浜銀行は2010年1月に使い始める。ただし道銀は現行システム(富士通製メインフレーム「GS21」)を2006年に導入したため,償却時期を待って2011年5月に共同システムに移行する計画としている。  にもかかわらず2009年にネットワークを先行して刷新したのは,二つの理由からだ。一つは支店にある店舗端末が老朽化していたこと。MEJARに接続するために端末をIP対応にする必要もあった。もう一つは「システム移行のリスクを最小限に抑えたかった」(小林部長)ことである。  勘定系システムの移行と端末の移行,そしてネットワークの移行を同時に進めると,トラブルが発生した場合に原因の切り分けが難しくなる。そこで,端末のリプレースを機に,ネットワークを併せて刷新することにした。  ビジネスイーサ ワイドを選んだ理由は主に4点あった。(1)道内全域で数Mビット/秒を利用できること,(2)銀行業務に堪える信頼性の高いネットワークであること,(3)料金が拠点間の距離に依存しないこと,(4)“枯れた”サービスであること──である「広さ」を感じさせないWANを選択  共同システム開発の契約を締結した当時,北海道内に10Mビット/秒クラスのメニューがあるWANサービスの選択肢は必ずしも豊富ではなかった。その中で当初候補に挙がったのは,通信料金が拠点間の距離に依存しないメガデータネッツだった。道銀の場合,基幹システムやMEJARのアクセス・ポイントと各支店の間の距離が半端でなく長いためである。  ところがプロジェクトを進行している途中で,NTT東日本がビジネスイーサ ワイドのサービスを始めた。サービス地域が都市部に限られていた旧メトロイーサ(ビジネスイーサ タイプM)の後継サービスである。  メガデータネッツについては,「3Mビット/秒を超えるメニューになると料金が跳ね上がる点が気になっていた」(小林部長)。ビジネスイーサ ワイドなら,道内全域で10Mビット/秒以上を,しかもフラットな料金で利用できる。メトロイーサの実績などから,“枯れた”サービスという条件もクリアした。  こうしてビジネスイーサ ワイドの採用を決め,支店ネットワーク全体を設計。そして2009年2月,一部の支店で先行してネットワークを置き換えた。この際,バックアップ用として支店にはBフレッツを引き込み,フレッツ・オフィス経由でもセンターに接続できる構成とした。  本格的な移行を始めたのは4月。6月までの2カ月半,週末を使って切り替え作業を進めた。1回の週末で平均13店。IP対応の通信制御装置を追加導入し,MEJARに移行するまでは支店のIP対応端末から従来通りメインフレームを使えるようにした(図2)距離によらない料金のインパクトは大きい。アナログ専用線を3M~5Mビット/秒の広域イーサネットにアップグレードし,Bフレッツのバックアップまで用意したにもかかわらず,「通信料金は若干増えただけ」(小林部長)という。 BフレッツでATMの保守を容易に  道銀は支店のネットワークと同時に,店外ATMのネットワークも刷新した。支店と同じ3.4kHzの専用線からフレッツ・オフィスへの切り替えである。各ATMからつなぐアクセス回線はBフレッツに統一。これにより,「ATMをオンラインで保守できるようになった」(小林部長)。  オンライン保守は,多くはATMのソフトウエアや登録データを更新する作業である。例えば道銀以外の銀行の名称が変わっただけでも,振込先情報を更新するために保守作業が発生する。従来通りの手作業では,「すべての店外ATMを更新し終えるまでに3カ月近くもかかる」(小林部長)。道内で一斉に新しいサービスを始めることも難しい。そこでオンライン保守の仕組みが必要だった。  アナログ専用線でも技術的には不可能ではない。ただ,ATM取引用のネットワークにリモート保守のトラフィックを流すと,データを更新し終えるまでの間,顧客の取引に支障を来す可能性がある。  一方で,セキュリティ面の配慮から,将来的には夜間取引時にカメラで撮影した画像を送るなどの構想を持つ。そのために店外ATM用にも十分な帯域が欠かせない。帯域の点ではフレッツ・ADSLでも構わないが,ADSLは局舎までの距離が長くなるとスループットが落ちる可能性があり,場合によっては正常に通信できるかどうかさえ疑わしい。「実際に引いてみて,結局つながらなかったというわけにはいかない」(小林部長)。このため,すべての店外ATMにBフレッツを導入した。  もちろん,ATM用ネットワークでも信頼性は重要だ。そこでベストエフォート型のBフレッツを使いつつ,ISDNをバックアップ回線として導入し,信頼性を確保している

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